わかりやすいことは正しいこと?ー曖昧さ回避ー
「このコメンテーターの意見は分かりやすいから好き」
こう思った時、私たちは、そのコメンテーターの言葉を信頼できるものと感じているようです。
でもコメンテーターは、その分野の専門家でないこともしばしばです。
昨今も、実績あるその分野の複数の専門家が、責任感を持って発信する意見より、一テレビ番組の一コメンテーターの意見の方が正しい印象を与えられることがあります。
曖昧さ回避
人は曖昧さが嫌いです。
例えば、
“確実に3ドルもらえる”選択肢と
“赤色と青色の20枚のカードデッキ(赤色と青色の枚数の割合は不明)から次にひくカードの色が当てたれば10ドルもらえる”選択肢があると、
人は“確実に3ドルもらえる”選択肢を選ぶ傾向があります。
この例から、人は、曖昧さがなく明確な選択肢を好む傾向があることを示しています。
分かりやすいことが正しいわけでなない
実際の問題には、様々な側面があり多くの情報を考慮しなければならず、そのことから、簡単な結論を導くことが困難です。専門的な話はわかりにくいことを経験したことがあると思います。
一方コメンテーターの意見は、私たちに分かりやすい少ない情報から分かりやすい意見を発信します。
その結果、分かりやすい意見は正しいとは限らないわけですが、私たちは分かりやすい意見の方を好意的に捉えてしまいます。
分かりやすさの罠に気をつける
分かりやすいことは良いことですが、それだけで正しいと思い込むことには注意が必要です。
注:コメンテーターの意見が間違っていると言っているわけではありません。
【参考文献】
Ellsberg, D. (1961). Risk, Ambiguity, and the Savage Axioms. The Quarterly Journal of Economics 75, 643–669.
Hsu, Ming; Bhatt, Meghana; Adolphs, Ralph; Tranel, Daniel; Camerer, Colin F. (2005), “Neural Systems Responding to Degrees of Uncertainty in Human Decision-Making”, Science 310 (5754):1680-1683.