~とある湖畔から~

脳と意思決定の研究の記録

わかりやすいことは正しいこと?ー処理流暢性ー

分かりやすいことは正しいこと?

「この人の話は分かりやすい!」

こう思った時、私たちはその話の内容が正しいと感じてしまう。分かりやすいことが必ずしも正しいとは限らないにもかかわらず。

一方で、複雑で分かりにく情報については、正しくなかったり価値がないものであると考えてしまいます

処理流暢性

情報の処理のしやすさは処理流暢性といい、情報の処理のしやすさは情報の判断に影響を及ぼすことがわかっている。私たちは、流暢性の高い処理のしやすい情報を肯定的に捉え、分かりにくい情報を否定的に捉えてしまう。

流暢性の高いものは

では、どの様な情報が流暢性が高いのか。

  • 過去に見聞き、経験した情報
  • 馴染みのある情報
  • 知覚しやすい鮮明な情報
  • 情報が多すぎないもの

簡単=好き

研究によると、被験者に顔写真を見てもらいどれくらい好ましいかをレーティングしてもらうと、以前に提示された顔写真をより好ましく感じる[1]。この様に、私たちは見慣れることで情報処理が簡単となった情報をより好ましく感じる。

簡単=正しい

文章の内容について本当らしいのか判断してもらう場合、読み易いフォントや色で書いてある文章の内容を、読み難い文章に比べより真実であると感じてしまう[2]。

簡単=やり易い

レーニングのやり方を書いた説明書を渡してトレーニングを行なってもらう。トレーニングの説明が読みやすい場所に書いてあると、被験者はそのトレーニングについて実行が容易であると感じ、一方で、日常のトレーニングに取り入れ同じ説明でも読みにくい場所に書いてあると、トレーニングを行うのは難しいと感じる[3]。

情報の内容が重要

私たちは、受け取った処理の簡単さ分かり易さによって、判断が歪められる。

他人に何かを伝えるときには、伝えかたを意識することで、相手の理解を得られるようにできる。情報を受けるときには、その情報処理の簡単さに騙されずに、内容を吟味し判断することが重要である。

 

 
参考文献

[1]Newell BR, Shanks D (2007). Recognising what you like: Examining the relation between the mere-exposure effect and recognition. European Journal of Cognitive Psychology. 2007, 19 (1): 103–118.

[2]Reber R, Schwarz N (1999). Effects of perceptual fluency on judgments of truth. Consciousness and Cognition, 8, 338–342.

[3]Song H, Schwarz N (2008). If it’s hard to read, it’s hard to do: Processing fluency affects effort prediction and motivation. Psychological Science, 19, 986–988.